今は朝の6時である。
日曜だというのに、早々と目が覚めてしまった。
昨晩も泥酔し一瞬で寝落ちしたが、深夜に忽然と目が覚めて、性懲りも無くSNSなどをチェックし、二、三呟いた後、再び目を瞑る、という変な睡眠である。
俺の横のベットでは、妻が寝息を立てている。今日は確か、岸和田の道の駅の方に果物を買いに行きたいといっていた。
俺と妻の休みが合うのは、週に一日だけなので、まあ、できるだけ、妻の希望に沿ってやろうとは思っている。
今回上梓した俺の本を読まれた方はお気付きだと思うが、そのお話しのほとんどに俺の妻が出てくる。まあ、はっきり言って、俺の小説のネタにされたというワケである。妻がこのFBを見ていないことをいいことに、割と脚色しながら、妻のことを好き放題書いた。まあ、FBの他人の投稿など、読んだそばから消えていくようなもんなので、妻の気持ちなど特に考えず、俺は好き勝手書いていたのだ。
しかし、書籍化になるとワケが違う。少なくとも妻の眼には必ず入ることとなる。で、俺は仕方無く、妻にそのすべてを打ち明けた。
俺の妻は目立つ事が極端に嫌いな性格である。波風が立つようなことは一切好まないネガティブな性格である。なので、書籍化の話をした時も、第一声は「やめてくれ」であった。
俺がいくら「ペンネームを使うのでバレルはずが無い」などとと言っても、頑として首を縦に振らないのである。
最初は宥めすかしていたのだが、余りの頑固さに俺も少し腹が立ってきて、「ここに出てくるのはお前のことでは無い、ここに出てくる女は俺の作品の中に出てくる俺の妻だ。なので俺は是が非でもこれを本にする。俺の作品にぐちゃぐちゃ口出しするな」と、まあ、今、思い出しても結構むちゃくちゃな事を言って、強引に事を推し進めようとした。
その後も二、三押し問答があり、結局、校了前の全原稿を妻に見せるという結論に落ちついた。
まあ、しかし、妻は諦めていたのか、結果的に俺の原稿に口を挟むことは無かった。
俺も少し可哀想な気もしたのだが、敢えてその事は忘れ、本作りに没頭したのだ。
俺の自著「パタパタ」ができた。妻にそれを渡すと、表紙を見た途端、「わあ、パタパタちゃんや」と言って破顔した。そこに描かれていた猫は、パタパタにそっくりだったようである。
リビングのテーブルの上に、ミッフィーちゃんの空き缶が置かれている。それを妻は、今では「Mフィーちゃん」などと呼んでいる。つい先日、その話に暖かい感想を頂いた事を話すと、「私のおかげやね」などと言う。
まあ、多少は俺の本を気に入ってくれたようである。
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